和精油の魅力とは?種類や和の香りに隠された効能をご紹介
和の香りまたは日本の香りときいて何を思い浮かべますか?お線香の香り、畳のい草の香り、ヒノキ風呂の香りなど、人それぞれだと思いますが、どれも懐かしく心地よい香りではないでしょうか?今回はそんな香りを心にもたらしてくれる和精油の魅力についてご紹介します。
2019年01月04日更新
記事の目次
[1] おだやかな日本の香り~和精油とは?
和精油とは、日本国内でとれた植物から抽出された精油のことです。和精油から生み出されるおだやかな日本の香りに私たちは懐かしさを感じ、安心感を得ることができます。ユズやヒノキの香りを思い浮かべて頂けるとわかりますね。生まれ育った地の土地で育った植物の香りは、心を和ませる温かさがあります。
和精油産業は、「自然を無駄にせず大切にする」いう発想から始まったものが多いといわれています。間伐によって出る木材や未利用の枝葉を有効活用するために精油の開発が始まりました。日本の自然の資源、素材を活かす和精油は、人々の心を癒すだけでなく、国内の林業の活性化や環境保全にも役立っています。
[2] 和精油にはどんな種類と効能があるの?
和精油にもいろいろな種類があり、それぞれに香りの特長、効能があります。
ここでは代表的な8の和精油についてご紹介します。
ユズ(柚子)
安心感の代表格と言ってもいいユズの香りは、ふるさとに戻ったときのような温かさをもたらしてくれます。
寂しい気持ちや不安感があるとき、懐かしい香りで心を落ち着かせてくれ、睡眠の質を改善してくれる作用があります。冬至にユズ湯に入る習慣があるように、血行を促進して体を温めてくれる効果があるので、冷え性のケアに適しています。また、消化器系の働きを活発にし、便秘の改善にも役立ちます。
クロモジ(黒文字)
日本で昔から蒸留が行われていたというクロモジは、明治時代が最盛期であり、その頃は香水や化粧品、石鹸の香料として用いられていました。また、高級爪楊枝としても利用されています。爽やかだけれど甘い香りに変わっていく落ち着いた奥行のある香りが特徴です。
抗不安作用があるため、精神を安定させて心を解放したいときに芳香浴や沐浴で利用できます。また身体のケアにはミツロウクリームなどで利用でき、鎮痛作用があるため、肩こりや筋肉痛緩和に対し効果が期待できます。
ヒノキ(檜)
日本の木の香りといえば、真っ先に思い浮かべるのはヒノキではないでしょうか?
抗菌効果のある成分が含まれており、水に強く腐りにくいので、昔の神社仏閣にはヒノキ造りが多いことで知られています。精油は木部だけでなく枝葉からも抽出されます。やさしく、爽やかな香りで、悪臭除去の効果もあることからルームスプレーとして利用できます。
ゲットウ(月桃)
沖縄や九州南部などの比較的暖かい地域の植物であるゲットウは、明るい気持ちにさせてくれる清涼感ただよう香りです。爽やかさだけでなく安定感があるため、不安を鎮め安らぎを与えてくれます。また、抗菌作用や去痰作用の効果により、花粉症で鼻づまりに悩んでいる場合などは着用するマスクにつけるといった利用方法があります。
クスノキ(楠)
数千年の寿命を持つといわれるクスノキは、古来より神社の境内の御神木とされて親しまれてきました。防虫剤や防腐剤として知られる「樟脳(しょうのう)」の爽快感のある香りが特徴的です。気持ちを切り替えたいときも気持ちを落ち着かせたいときも、芳香浴で調整できます。また、ウッドチップにクスノキ精油を含ませて袋に入れると防虫剤のできあがりです。
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スギ(杉)
酒樽、醤油樽、味噌樽など日本人の暮らしに取り入れられてきたスギは、ヒノキほどの自己主張がない柔らかく爽やかな森林の香りが特徴です。精油は葉からの抽出が主であり、ホルムアルデヒドなど揮発性の有害物質を除去する働きがあります。森林浴効果が得られるので、気分転換や心を解放させたいときにおすすめです。
ハッカ(和薄荷)
清涼感のある鋭い香りが特徴で、ハッカ飴を思い出す懐かしい香りでもあります。清涼感だけではなく甘さもあるので気持ちをリフレッシュすると同時に落ち着きも与えてくれます。また、呼吸器系の機能を調整してくれる働きがあり、咳や鼻づまりがある場合に有効です。その他、消臭や虫除けなどにも利用できる使い道の多い精油です。
サンショウ(山椒)
サンショウは調味料として私たちの生活の身近にあるものですので、香りは誰もが想像できるのではないでしょうか。少しスパイシーでキリリとした主張のある香りです。背筋がピシッと伸びるような香りが活力を与えてくれますので、ひとつのことに集中したいときに役立ちます。また、蚊よけにもなり、網戸や玄関の入り口付近にスプレーするという使い方もできます。
[3] おすすめの和精油ブランドは?
気になる精油が見つかっても、精油のメーカー、ブランドは数え切れないほどあり、どこで購入したらよいのかわからない方も多いのではないでしょうか?数あるメーカーブランドの中から、和精油を取り扱い、また力を入れているブランドをここでご紹介します。
生活の木
ご存知の方も多い、国内最大の精油ブランドです。和精油の取扱いも多く、和のブレンド精油も販売しています。日本全国に店舗があるため、香りを実際に試してから購入できるのが嬉しいポイントです。
yuica (ゆいか)
「正プラス株式会社ー日本の森から生まれたアロマ」の和精油ブランドです。飛騨高山の森の樹木の枝葉から、蒸気蒸留法によりじっくりと抽出された混じり気のない香りは、爽やかで深みがあり、香りの良さは世界のトップレベルに属するといわれています。
一十八日
こちらも国産の精油のみを扱う比較的新しい和精油ブランドです。
ブランドディレクターはパッケージデザインなどを扱う富永周平氏であり、精油だけでなく、デザイン性の高い専用の木製ディフューザーなども要注目です。
グリーンフラスコ
植物の有効成分を活用し、私たちの自然治癒力に働きかけるといった「緑の医学」に取り組んでいるグリーンフラスコ。2001年から国内の植物から精油を抽出して化学的な検証を行うというJ-aromaプロジェクトに力を入れており、現在15種類の国産精油を販売しています。
wacca
日本各地で作られた精油を集めた和精油ブランドです。北海道から九州、沖縄の各地で丁寧に小規模生産されているものを厳選し、10種類の精油を販売しています。水引をイメージしたロゴデザインが、「生産者の自然に対する気持ちとそこから生み出される心地よい香りを、たくさんの人へつなぎたい」という思いを伝えています。
[4] 和精油についてもっと知りたい方へ
和精油の心癒される香りは、日本人はもちろんのこと、世界中の人々を魅了する可能性があり、今後海外への発展も見込まれます。和精油のことをもっと知りたいという方へ、関連の書籍や認定講座についてどんなものがあるのかご紹介します。
和精油が学べるおすすめ本
・あたらしいアロマテラピー事典/木田順子著/高橋書店
精油全般について初心者にもわかりやすく説明された本です。14種類の日本の精油について図解とともに解説があり、効能や使用方法、ブレンドの方法など盛りだくさんの内容です。
・日本の森から生まれたアロマ/稲本正著/世界文化社
yuicaを立ち上げた稲本正氏が国産の精油を開発する経緯や、精油の使い方などが書かれています。外国産と日本産の精油の違いなども述べられており、和精油についてより理解が深まる1冊です。
和精油の資格講座はあるの?
和精油に関して公的な資格はありませんが、和精油ブランドが提供する以下のような資格講座があり、それぞれ独自の資格が設けられています。和精油についてより体系的に学びたい、仕事に活かしたいという方はぜひチェックしてみてくださいね。
・yuica認定日本産精油総合講座
>>公式ホームページはコチラ
・グリーンフラスコ認定 J-aroma マイスター養成講座
>>公式ホームページはコチラ
[5] 和の香りで生活に癒しをプラス
今回は日本が誇る和精油の魅力についてご紹介しました。普段アロマを使っている方も、これからやってみたいという方も、懐かしい日本の香りの中からお気に入りの香りを見つけて、またブレンドして、毎日の生活に取り入れてみてはいかがでしょうか?
☆アロマセラピスト菊池より一言☆
アロマと出会って16年。ずっと西洋ハーブから抽出された精油を使って生活やスクールなどに活用してきました。
ここ数年、日本で誕生した和精油が注目されてきているように思います。私自身もこの和精油にとても関心があり、アロマの幅を広げていきたいと考えています。
同時に日本の香り文化を知ることで、きっと和精油の優しく懐かしい香りが私たちの心へ届けてくれるのではないかと感じています。
※アロマオイル(精油/エッセンシャルオイル)を使う際の注意点
アロマオイルは医薬品ではないため、「治療」できるものではありません。ここに掲載されている内容は精油の効果効能、心身の不調改善を保証するものではありません。予めご了承ください。症状がひどい場合は医療機関を受診することをおすすめいたします。実際にアロマの香りに癒されるという方はたくさんいます。自分の体の状態や気分に合わせて上手に取り入れてくださいね。